アメリカ・カンザスで2025年5月31日に開催されたグラベルレースの最高峰イベント「アンバウンドグラベル(Unbound Gravel)」に、製造部門の森脇が参加したのでレポートをお届けします。

私-森脇は5月26日早朝に丹波本社を出発した。 今回は6月4日までの10日間の長い出張となる。 出張の目的は、カンザスのフィールドでのテストタイヤのデータ収集と、200マイル(約320km)のレースへの参戦である。 移動時間も長く2度の飛行機の乗り継ぎを経て、カンザスシティ空港に無事到着することができた。
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拠点となる宿舎に到着後、すぐにバイクの組み立てとチェックを行いストレッチと機材確認を兼ねて試走を行った。 日本には全くない環境の路面はほぼ未舗装で、硬く締まった路面もあれば、石が混じらない土の路面もある。 しかしこの土の路面は厄介で、水分を含むとたちまち強烈な粘土質に変化してしまう。 一昨年の2023年に参加した当社メンバー達は雨天に見舞われ、この粘土質(通称ピーナッツバター)に苦しめられ、数キロにわたり自転車を担いで歩いたと聞いていた。 一方、昨年参加したメンバーはこのピーナッツバターの影響を受けなかったようだ。 今回は直前の雨の影響で写真にもあるようにピーナッツバターエリアが発生していた。 一緒に試走をしていたヴェロリアン松山の阿部嵩之選手が試しにこのエリアへ突入してみたのだが、プロ選手の脚でも100メートルも持たずにギブアップするほどの過酷な路面だった。
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例えるなら、田んぼの水を抜いた土の上を走るような感覚だが、それよりもさらに粘土質が強く自転車にまとわりつく。 初日はそのようなコンディションの中、少しナーバスになりながら軽く流して終えた。当日までに乾いてくれと願うばかりである。
・タイヤテスト
2日目からはいよいよタイヤのテストが始まった。 試作タイヤ4本を持ち込み、区間と条件を設定した上でデータ収集の走行を実施した。 一緒に200マイルに挑戦する神野社員と私は、技術開発スタッフの指示のもとで黙々と会話も交わさずサイクルコンピューターを見つめながらただただ走り続けた。 タイヤの違いは、ワットで表すとほんの数ワットの差に過ぎないが、 ブロックの形状やパターン、コンパウンドの質の組み合わせによって、違いが生じることを実感できた。自分が速いと感じたタイヤが、実際に数値としても証明されたことは嬉しい瞬間だった。
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また同時に、開発部隊は時間とコストをかけてトライ&エラーを繰り返し、その時点での最適な選択を行い商品化していることも改めて認識した。 今回初めてこのようなデータ収集テストに参加したが、この活動が製品化へと繋がっているのだと実感した。 来年のこの地には今回のテストが活かされた製品を使うユーザーがたくさんいることを願うばかりである。
・エキスポ
レース前のエキスポも開催されている。 多くの来場者と出展者で溢れるこの場では、参加者のバイクや展示車両に数多くのグラベルキングが装着されており実際に確認することができた。 初めての海外出張で実際にユーザーが装着しているタイヤを目にしたことには感動 と喜びを覚えた。 世界的なトレンドとして、タイヤ幅は広くなる傾向にあり、700Cでも45Cでは物足りず、50C幅以上の製品が登場しだしており、トレンドをキャッチする場所としても重要に思えた。 パナレーサーでもブースを出しており多くの人々が訪れているのを目にすることができた。
・レース当日

テストと調整を繰り返し、いよいよレース当日となった。 心配していた天気は前々日までの雨の影響はあったものの、路面状態は悪くなかった。 自分たちはほぼ最後尾からのスタートであったが、これは他の参加者にペースを乱されないようにして体力を温存する作戦であった。 そのあたりは神野社員がうまくコントロールしてくれたおかげで、レースを順調に進めることができたと思う。 コースは広大なエリアに広がり、小さな丘を繰り返し登ったり下ったりする構成となっている。 Windows XPの壁紙を覚えているだろうか?広大な草原の中を一本道が続く、まさにそんな風景の中を走るイメージだ。 レースが進むにつれ、考えることが少なくなり、景色も変わらないため、途中で「同じコースをグルグル回っているのではないか?」と思う場面もあった。 「これは夢じゃないか?」と冗談を交わしながら走っていた。まだまだ先は長い。。。

給水・補給のポイントはおおよそ60~70kmごとに設定されている。64kmと179km地点のウォーターオアシスでは水のみの補給が可能で、112km地点と236km 地点にあるチェックポイントではチームのサポートが受けられる。 チェックポイントでは弊社社員がブースを作って待ってくれており、冷たい水や食べ物を受けとることができた。
チェックポイント1ではピザも食べることができ固形物が摂取できることに体調的に安心した。 この時点で13時を過ぎており、どんどん気温が上がり続ける時間帯となってくる。
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暑さと向かい風のなか、チェックポイント2に到着したのは20時頃だったと思う。 この時間帯からようやく日が暮れ始め暑さも和らいでくる。 こちらでも先に準備してくれていた当社社員がブースを立ててくれていた。 ハンバーガーやコーラなどエネルギーを補給して他愛の無い話をしていると、もう少し頑張ろうという気力が湧いてくる。
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そこからラスト約100km夜間走行となり、グラベル区間には当然ながら街灯はなく、バイクに付いているライト1つだけを頼りに暗闇を走ることとなった。

夜間の未舗装路では凹凸を見極めながら走る必要があり、さらに気を使う展開となった。 ここで驚いたのは、アメリカにも蛍がいることだった。

大草原の中、日が陰り始めた時間帯に蛍が舞う光景は非常に幻想的で、美しく心に残るものだった。 レース終盤はお尻の痛みに苦しみ、距離がなかなか進まなかった。 結果的に深夜1時30分頃にゴールすることができた。

完走タイム:18時間48分(ネットタイム 16時間54分)
ゴール後は、自分らしくないかもしれないが本当に感動を覚えた。 グラベル走行の経験が無かった自分と一緒にトレーニングをしてくれた職場の仲間、チェックポイントなどでのサポートをしてくれたスタッフ達、何より一緒に走り切った神野社員への感謝があふれたのだ。

もう一度走りたいかと聞かれたら正直かなり悩むと思う。二度とこのカンザスに来ることはないかもしれない。 しかしここで得られた経験と完走の証はずっと残り続けると思うと、非常に誇らしい気持ちで一杯になっている。
今後もし「アンバウンドグラベル」に挑戦してみたいという人がいれば、イベント会場などでぜひパナレーサースタッフに相談してみてほしい。 これまでに培ったノウハウと適切なタイヤを教えてくれると思う。











