かつて、街にはメッセンジャーがいた。
巨大なショルダーバッグを背負って、 道路が渋滞していても
車の隙間をぬって疾走していく姿はカッコよかった。
このショルダーバッグはすぐにメッセンジャーバッグと呼ばれ街に溢れていたけれど、
メッセンジャーが実際に使ってる、ワッペンやマーカーでカスタムされたバッグを超えるものはなかった。
土砂降りの雨が降っている日も、大雪で道が凍っている日も
灼熱の太陽に照らされて蜃気楼が浮かんでいても
彼らは構わず目的地までデリバリーを続けた。
メッセンジャーは都市の風景だった。
10月19日(土)横浜・赤レンガ倉庫&パークで開催されたメッセンジャー発の都市型バイシクルフェス『JCMC 2022 YOKOHAMA』は、往時の熱狂がそのまま凝縮された、夢のような時間でした!
10月中旬にしては日差しが強く、大快晴に恵まれた横浜赤レンガ倉庫。
『JCMC(Japan Cycle Messenger Championship) 2022 YOKOHAMA』は、来年同じく横浜で開催予定のメッセンジャー世界大会「CMWC(Cycle Messenger World Championship)」の前哨戦となるフェス。
朝9時、「第3次ピストカルチャーの幕開けです!!」というMCのオープニング宣言とともに、フェスは開幕。
土曜日の早朝にもかかわらず、メッセンジャーやバイクキッズはもちろん、ファミリーや年配のご夫婦、横浜に遊びにきた人たち、散歩のついでに寄った地元の方々など、いろいろな世代、いろいろなカルチャーをもった人たちが集まり、はやくも会場は秋の陽気とフェスの熱気に包まれていました。
会場のバイクラックには全国から集まった多数のバイクがぎっしり、憧れの光景
『JCMC 2022 YOKOHAMA』は、日本最速メッセンジャーを決める「デリバリーレース」をメインに、「カーゴバイクレース」や「クリテリウムレース」、“自転車があればだれでも参加可”のトリック系サブイベントのほか、キッズ向けのBMXスクール&ショー、マーケット、フードトラックなどのイベントが盛りだくさん。
となりの会場ではハンバーガーフェス(5,000円のハンバーガーが午前中だけで完売!)やフリーマーケットが開催され、そちらも大盛況。この日の赤レンガ倉庫は、さながら夏フェスのような雰囲気でした。
ロードレースイベントとは違い乗っている自転車も個性溢れるもので、使用するタイヤも何かに偏ることもなくバラバラでした。
そんな中でもグラベルキングの使用率がそれなりにあったのは嬉しい驚きです。
【カーゴバイクレース】
開場して間もなく、オープニングの「カーゴバイクレース」がスタート!
普段あまり馴染みのないカーゴバイクが、ピザ箱やビール缶、コンテナを大量に積んで器用にコーナーを抜けていく姿は迫力があります。
それぞれバイクのスタイルがバラバラなら、荷物の積み方もさまざま。荷物を大量に積んで顔で押さえているライダーもいて、とても楽しいレースでした。
オープニングレースにふさわしく、会場の熱も一気に上昇。
フェス会場はレースコースを囲んでショッピングやフードブースが並ぶレイアウトになっているため、お客様の波が絶えない状況でした。
来場者はレースを観戦しながら横目でショッピング。
アパレルを扱うブースが多く、フェスのオリジナルグッズを販売しているブースには人だかりができていました。
当社のブースも盛況でした。パナレーサーを知っていてブースに来て下さるお客様からは、「アジリスト気に入って使ってます!」「グラベルキング一択です!」という声を多く聞けました。
ほかのイベントとは異なるユーザー層の方々とお話しする機会が持てて、興味深い出店となりました。双子のBMXライダー吉田コオ&吉田ナオによるちびっ子のBMXスクールも大盛況
会場が温まってきたところで、いよいよメインレースのひとつ「デリバリーレース」スタートの時間が迫りました。
メッセンジャーの日常業務を模した「デリバリーレース」は、マニフェストと呼ばれる荷物の配送リストが選手たちに配られ、コース内の各チェックポイントから荷物を集荷・配達。デリバリーを繰り返しポイントを競うレースです。
イベント直前、10月末にニューヨークで開催された世界大会「CMWC NYC」で世界チャンピオンに輝いた“ちかっぱ”さんの参加が発表され、大会への期待値はマックスに!
【デリバリーレース】
最初に予選が行われ、100人超のメッセンジャーから50人に。
決勝レースは横倒しのバイクの上にマニフェストが置かれ、本場さながらのルマンスタート!ピストバイクやロードバイク、BMX、MTB、ミニベロ…シングルギア、固定ギア、ギアードとバイクはもちろん、ファッションだってなんでもあり。
メッセンジャーに求められることは、預かったパッケージを正確に、大切にお客様の元に届けること。
コースはクローズドで行われているけれど、一般道と同じく道路交通法は厳守。途中にいくつか設けられている「横断路」では歩行者優先です。これがレースの行方を左右して熱が上がります。「デリバリーレース」優勝は、福岡のメッセンジャーTAKAさんでした。
CMWC NYC優勝に輝いたちかっぱさん。世界チャンピオンの証アルカンシェルが眩しい
日が暮れて肌寒くなってきた夕方、次のクリテリウムまで時間ができたところで、唐突にメスゲームがはじまりました。
自転車があれば誰でも参加OK。
トラックスタンド(地面に足をつかずに最後まで自転車に乗ってた人が勝ち)やロングスキッド(タイヤをロックさせて距離を競うゲーム)など、目立ったもの勝ちのバイクトリックに、会場は大いに沸きました。
【クリテリウムレース】
日がどっぷり暮れバイクトリックで会場のボルテージが最高潮に達したころ、本フェスの最終イベント「クリテリウムレース」通称“YOKOHAMA CRIT”のスタートです。
日本で唯一固定ギアクリテリウムを開催するsfiDARE(スフィダーレ)が主催。レースは、1周550mのコースを予選6周、本戦16周で行われます。
デリバリーレースとは異なり、バイクはピンピンのトラックフレーム。不要なものは一切つけずに、ブレーキすらもNG。そのレースを間近で見られるのは、クローズドコースの醍醐味。
緊張感、迫力、スピード感がハンパない。
音が違う。風を切る音がビュンビュン聴こえてくる。
攻めすぎてコーナーで転んだら「大丈夫?」じゃなくて歓声で盛り上げる。
転んでも歓声がライダー元気づけ、さらに力がみなぎってくる。
会場はヒートアップ。そうそう、こんな感じだった。
クリテリウム優勝者にはトラックバイクが贈られました。
1日限りのフェスではありましたが、メッセンジャーカルチャーの息吹を堪能した素晴らしい時間でした。
バイクはさまざま、乗る人もファッションもさまざまだけど、「自転車って楽しいよね」が詰まったイベントでした。
来年は横浜でいよいよ本戦のメッセンジャー世界大会「CMWC」が開催されます。
会場もレース規模もさらにビッグスケールになるであろうフェスが、いまから待ち遠しくてなりません!
来年、また横浜でお会いしましょう!
JCMC 2022 YOKOHAMA(@cmwc2023)
画像提供(クレジットの入っている画像)
Masayuki rocky Tsuyuki
【Instagram】@rocky_rinproject