今回は6月1日(土)にアメリカ–カンザス州エンポリアで開催された世界最大のグラベルレース「UNBOUND GRAVEL 2024」に当社の社員2人が200MILE(約330km)に出場したレポートをお届けします。
こんにちは、技術開発チームの吉岡です。今回世界最大のグラベルレース「UNBOUND GRAVEL 2024」に参加することになったのでその様子をお届けします。
- エンポリアへ、
会場となるカンザス州エンポリアへは、本社のある兵庫県丹波市からだと飛行機を3回乗り継ぎ、さらにカンザスシティ空港からレンタカーを使って行くという長旅です。
エンポリアという地域はホテルが少ないため、昨年と同じく知人の紹介で会場近くの一軒家を借りることができ、とても助かりました。
丹波市を出発してからおよそ43時間とかなりの長旅でしたが、移動疲れよりもアメリカに来たというワクワクが上回っていました!
宿舎に着いてからは早々に自転車のチェックを行いました。というのも昨年は行きの飛行機輪行でフロントフォークが破損するトラブルがあったため、入念にチェックを行いました。
今年は2人とも自転車にトラブルは無く、一安心しました。
- 現地での生活
自転車や装備の確認が終わった後は現地のスーパーに向かい、1週間分の野菜や肉、魚などの食品を購入しました。
事前に日本から米や蕎麦なども送っており、それらを使っての自炊生活を行いました。
昨年は社長の大和が一人で料理番を担って大変でしたが、今年は社長の奥さんも同行されて、料理を作ってくださいました。
とても美味しく、彩り鮮やかな料理は一人暮らしをしている私にとって最高なご飯でした。
また、宿舎には日本からの参加者も多く訪れ、一緒に食事をしたり、タイヤ交換をサポートしたり、レースコースの情報交換を行ったりと、頻繁に交流ができました。
- グラベルEXPO
5月30日(木)と31日(金)には、グラベルEXPOが開催され、日本では見かけないようなメーカーの商品が展示されており、興味が惹かれる物がたくさんありました。
また、バイクメーカーの展示にも当社のグラベルキングを付けているところが多く、アメリカでのグラベルキングの人気の高さを実感しました。
パナレーサーもブース出展をしており、今年リニューアルを行ったグラベルキングをはじめ、新トレッドパターンのX1、新構造のRモデル、そしてこの日アンバウンドグラベルに合わせて発売を開始した限定カラーの展示、販売を行いました。
参加者からの注目度は高く、ブースには多くの方が訪れており、この日持ってきていた限定カラーの中には早々に売り切れたモデル もあったそうです。
また、EXPO会場近くにある自転車ショップに立ち寄ってみると、そこにはグラベルキングのタワーができていました。
話を聞いてみるとリニューアル以降、グラベルキングが多く売れており特にX1が人気とのことで、昨年実際にアンバウンドグラベルを走りそこでの経験を活かして開発したタイヤだけあって嬉しくなりました!
- 実走テスト
ここからは仕事モードに切り替え、今年発売を開始したX1やその他モデルをアメリカのグラベルで実走テストを行いました。
昨年も実走テストを行い、テスト結果から現在のX1のパターンが出来上がったという経緯があります。
そのためここでのテストは非常に重要であり、楽しい感情は一旦置いて集中して行いました。
ここで得た情報は次の新たなタイヤ開発に活かされます。
- いよいよレース当日
6月1日は待ちに待ったレース当日です。
昨年は熱中症になるほどの暑さや身体が冷えるほどのスコール、そして10km以上にわたって押し歩いた泥区間など非常にタフなコースであったため、もし今年もそのようなことが起きたとしても対処できるよう、入念に準備を行いスタート地点に並びました。
私が出場する200mileは朝6時半にスタート、街の中を2~3km走るとすぐにグラベル区間が始まります。
コースの大半は踏み固められた土地に砂利が敷いてあり、その砂利も車が通った跡(わだち)ができており、日本の林道グラベルとは違った走りやすいコースでした。
序盤は大集団で進んだため未舗装路にも関わらず65km地点の第1オアシスまで平均25km/hほどの速度で気持ちよく走り抜けていきました。
第1オアシスを過ぎてからは集団も小さくなり、参加者同士のコミュニケーションも増えていました。
私たち社員は2人ともパナレーサーパープルのグラベルキングX1を使っていたため、他参加者から声を掛けられることも多々ありました。
また参加者の中には新発売のX1や昨年の限定カラー(中には一昨日発売開始した限定カラーを使っている人も!)を使っている方も多く、グラベルキングの人気度の高さを嬉しく感じながらチェックポイント1までたどり着きました。
- タイヤの性能を感じる中盤戦
1時間ほど休憩しチェックポイント1を出発すると、曇り空から一転、太陽が見え始め気温が一気に上がりました。
その暑さの中、ジェットコースターのようなアップダウンが地平線まで続いている道をひたすら進んでいきます。
熱中症にはならないよう水分をしっかり摂っていましたが、広大な牧草地ではコースに木陰は少なく、常に日差しの下で走ることになります。
また地面が乾燥しているため、車が通ると砂埃が舞い上がり、前が見えにくいということもしばしば。
熱中症になる前に身体を冷やすため、途中木陰で休憩を挟んでから、第2オアシスへ向かいました。
第2オアシスで水の補給と小休憩をし、第2チェックポイントへ向け出発。
既にスタートしてから10時間、180km以上走っている身体は疲労が見え始め、深い砂利の急勾配の登りでは歩かざるを得ず、体力をどんどん削っていきました。
しかし、体力が削られていくほどタイヤの特性がよく分かるもので、砂利道でダンシングした際のグリップ感や走りの安定性、それでいて転がりの軽さなどX1の良さが一番身に染みて感じた時間帯かもしれません。
- ついにゴールへ
第2チェックポイント には19時前に到着しました。最後のゆっくりできる休憩場所ということもあり、しっかりとした食事をとってからゴールに向けて再び脚を動かし始めました。
21時を過ぎると徐々に暗くなり始め、街灯が全く無いグラベル区間では光源は自分たちのライトのみとなります。
そんな状況を想定して、一緒に走っていた社員はダイナモ付きのホイールを使用しており、なんと常時1000ルーメンという明るさ!
私が持っていたライトは500ルーメンと決して悪くないライトだったのですが、かき消されるほどの明るさで助かりました。
また、日中は周りに参加者が少ないと思っていましたが、夜になると皆ライトを付けているため遠くの方まで参加者が走っているのが確認でき、元気が湧いてきました。
後半は下り基調ということもあり、ペースを落とすことなく走り続けました。
地平線の向こうに明るい街並みが見えた時には、ようやくゴールできるという実感が湧いてきました。
最後の直線では、観客やスタッフに歓声を上げて出迎えてもらい、無事ゴール!
昨年の泥区間のようなタフなコースは無く、パンク等トラブルもなかったため、とても順調に走ることができ、目標にしていた20時間切りを大きく上回る17時間18分で200mile、約330kmを走破しました!
- 走り終えて
ゴール後はホッとした気持ちとともに、トラブルなく走り切ったグラベルキングX1の性能の高さに、自信を持ってお客さんに勧めることができると感じました。
また、レース中に当社のタイヤを使っている参加者が多かったにも関わらず、当社タイヤでパンクしている人が見当たらなかったことに、より一層自信を持つことができました。
この経験を次のタイヤの研究開発に活かし、ユーザーの皆様が安心、安全に楽しめるようなタイヤ作りを心掛けていきたいと思います!
・今回の装備
バイク:キャニオン グリズル
ホイール:ZIPP303FC
タイヤ:グラベルキング X1 パナレーサーパープル(700×40C)
空気圧:前後200kPa
体重:66kg